McCullagh, P. and Nelder, J.A. (1st ed.:1983, 2nd ed.:1989) Generalized Linear Models, Chapman & Hall の問題9.10における最初の問い(推定関数の期待値がゼロとなることを確認してくださいね,という問い)を考えてみました.
もっとエレガントな解き方がたぶんあると思います.もしエレガントな解き方を知っている方がいれば教えていただけると... 助かります... .
設定
次のような表を考える.
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A |
Not A |
Total |
Sampled |
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Non-sampled |
|
|
|
Total |
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m. |
行和および列和ともに固定されており,オッズ比 の非心度超幾何分布に従っているとする.ここではを基準に考えていくとして,確率関数が次のようになっているとする.
ここで であり,また,(分子を標本空間全体の領域で足し合わせたもの)である.標本空間全体の領域を示す集合は,上表の4つのセルすべてにおいて,度数がゼロ以上となっているものの集まりである.
なお,この集合の条件には,
という等号制約もあるが,煩雑になるので以下でも,(に対する)この種の等号制約は記載を省略することにする.
解答
上記の設定のもとで となることを確認していく.LOTUS(law of the unconscious statistician)より,
である.以後,簡単のため分子だけを見ていく.より,
(分子)
もしくはの項は上記の総和には貢献しないことに注意しながら,と計算すると,
と変形される.ここで はから, もしくはである集まりを引いたものである.
この変形した式の分母分子におよびをかけると,
となる.
ここで,次のように置換する.
上記の変数に置換した式は次のようになる.
集合 をに置き換えたは次のようになる.
)
ここで,
となっていることに注意する.つまり,に対する周辺和による制約は,元のに対する周辺和による制約とまったく同じである.また,もしくはとなっている項は総和には貢献しないことを踏まえれば,上記の式は
と変形できる.ここで
)
である.周辺和に対する制約も同じだったので,このはと等しい.置換した式のプライムをすべて除いて記述すると,
となる.ここでは前述したものであり,再掲すると,
)
である.
以上のことから,
となることが確認できた.よって,
である.
修正
2021年10月19日 22:45 総和の範囲において,周辺和で固定されているのが抜けていた.